インビザラインによる矯正治療が完了した後、歯並びを安定させるために使われるのが「リテーナー(保定装置)」です。インビザラインを提供するアライン・テクノロジー社によって開発された「ビベラリテーナー(Vivera Retainer)」は、インビザライン専用の保定装置です。治療後の歯並びを長く美しく保つためには、このリテーナーの正しい使用が不可欠です。
インビザライン専用のリテーナー(ビベラリテーナー)について
リテーナーの役割・重要性
リテーナーの主な役割は、矯正で整えた歯並びが後戻りしないように固定することです。歯は矯正後すぐには安定せず、元の位置に戻ろうとする性質があります。この「後戻り」を防ぐために、リテーナーを一定期間装着することが推奨されます。特に治療直後の数ヶ月は最も後戻りしやすい時期なので、装着時間をきちんと守ることが大切です。
リテーナーを装着しないとどうなる?
リテーナーを装着しない、あるいは装着時間が短いと、せっかく整えた歯が元の位置に戻ろうとします。これを「後戻り」と呼びます。特に治療直後の数ヶ月〜1年の間は、歯が非常に動きやすい状態なので、リテーナーを怠るとすぐに歯並びが崩れてしまう可能性があります。
ビベラリテーナーの特徴
ビベラリテーナーは、以下のような特徴があります
・高精度な3Dスキャン技術によって作られるため、フィット感が非常に高い。
・透明度が高く、目立ちにくいので、審美性にも優れている。
・耐久性が高い素材を使用しているため、長期間使用が可能。
リテーナーの使い方、交換のタイミング

インビザラインの治療後に支給されるビベラリテーナーは、矯正完了時の歯並びをもとに作られており、すべて同じ形状です。同一のものを複数用意しておくことで、破損や紛失があった際にすぐに交換できるため、複数セットご用意される患者様もいらっしゃいます。
<基本の使い方・交換タイミング>
リテーナーは長く使用することで少しずつ摩耗・変形していきます。そのため、ビベラリテーナーを複数セット(例:3セット)お持ちの方は、清潔さやフィット感を保つために、以下のような目安でローテーション・交換していくのがおすすめです。
1セット目 | 治療終了直後から使用(〜6〜9ヶ月) | 最も使用時間が長く、摩耗しやすい
2セット目 | 1セット目が劣化・破損したら交換 | 使用頻度に応じて早めに交換してもOK
3セット目 | さらに交換が必要になった場合、予備として使用 | 長期間保管する場合は衛生管理に注意
<こんなときは交換を検討しましょう>
・リテーナーにひび割れ・変形・黄ばみが見られる
・装着時のフィット感が緩くなってきた
・長期間使って清潔を保つのが難しくなってきた
リテーナーの劣化を放置すると歯が少しずつ動いてしまう可能性があるため、交換検討事例の様な事象が発生した際は、リテーナーを交換する様にしましょう。
リテーナーは矯正費用に含まれている?
クリニックによって異なります。ビベラリテーナーが矯正費用に含まれている場合もありますが、別料金として設定されていることもあります。契約時にリテーナーの費用が含まれているか事前に確認しておくと安心です。当院は保定管理料や毎月の調整費料など全て無料です。

リテーナーの作り直しについて
破損や紛失、または変形によってフィット感が悪くなった場合は、新しく作り直すことができます。ビベラリテーナーは最初に複数セット提供されることが多いので、ストックがあればすぐに交換可能です。新たに作る際には、再度歯型を取る必要があります。
<リテーナー再作製の費用目安(日本国内)>
・矯正治療を受けたクリニックで再作製する場合
片顎あたり約5,000円〜11,000円(税込)
・他院で矯正治療を受けた場合や初めて作製する場合
片顎あたり約25,000円(税込27,500円)
<作製にかかる期間>
即日対応:一部のクリニックでは、1〜2時間で作製可能な場合があります。
通常対応:多くのクリニックでは、作製に数日から1週間程度かかることがあります。
インビザライン矯正用マウスピースとリテーナーの違い
インビザライン矯正用マウスピースは、歯を動かすための「アクティブ装置」です。一方、リテーナーは動かした歯を「その位置に固定するための装置」で、目的と使用タイミングが異なります。見た目がとても似ていますが、マウスピースのほうが薄く柔らかめなのに対し、リテーナーは厚めで硬めにできています。誤って矯正用のマウスピースを装着し続けたり、リテーナーを装着し忘れたりしないよう注意が必要です。
インビザライン完了後、固定式のリテーナーも選択できる?

歯科医院にもよりますが、固定式のリテーナーも選択できます。リテーナーには取り外し式と固定式の2種類があり、固定式(ワイヤーを歯の裏側に接着するタイプ)は、前歯の後戻りを防ぐのに効果的です。ただし、歯の清掃がしにくくなるため、虫歯や歯石の管理には注意が必要です。どちらを選ぶかは、歯科医師との相談の上で決めるのがベストです。
リテーナーでホワイトニングは可能?
インビザラインのリテーナー(ビベラリテーナー)を使ったホームホワイトニングは可能です。ホワイトニングジェルをリテーナー内側に塗布し、一定時間装着することで歯を白くする効果が期待できます。リテーナーをホワイトニングトレーとして併用すれば、矯正後の美しい歯並びと白さを同時にキープできます。ただし、すべてのリテーナーがホワイトニングに適しているわけではないため、事前に歯科医師に尋ねてみましょう。
合わせて読みたい
『マウスピース矯正とホワイトニングは同時にできる!白い歯も叶うインビザライン』
リテーナーの装着期間について

リテーナーの装着期間
リテーナーの装着期間は、最低でも1年~2年程度、矯正期間と同等の期間装着するのが一般的とされています。ただし、矯正完了後すぐの時期は「後戻り」が起こりやすいため、特に最初の6ヶ月〜1年は、日中も含めて長時間の装着が推奨されます。
その後、歯の位置が安定してくれば、徐々に就寝時のみの装着に移行することが可能です。個人差があるため、最終的な装着期間は歯科医師の判断をもとに決定されますが、歯並びを維持したい場合は、就寝時の装着を継続することが理想です。
リテーナー1日の装着時間
リテーナーの1日あたりの装着時間は、治療完了直後であれば20〜22時間が目安です。つまり、食事や歯磨き以外のほとんどの時間はリテーナーを装着しておく必要があります。
この装着時間をしっかり守ることで、歯が動いてしまうリスクを最小限に抑えることができます。装着時間が足りないと歯が動いてしまい、リテーナーが合わなくなる可能性もあるため注意が必要です。
寝るときだけ、はOK?
「リテーナーは寝るときだけでいいの?」という質問はとても多いですが、矯正終了直後の段階ではNGです。先述の通り、最初の数ヶ月〜1年は歯がまだ動きやすい状態のため、1日20時間以上の装着が必須となります。
ただし、歯の位置が安定し、医師の許可が出れば、徐々に夜間のみの装着(就寝時のみ)に切り替えることが可能です。その際も、自己判断で装着時間を短くせず、定期的なチェックを受けながら進めることが大切です。
リテーナーの扱いで気を付けたいこと

清潔に保つ(お手入れ方法)
リテーナーは長時間お口の中に入れて使用するため、常に清潔に保つことが大切です。使用後はぬるま湯で軽くすすいだ後、やわらかい歯ブラシでやさしくブラッシングしましょう。洗浄剤を週に1回使うことで、ニオイや着色を防げます。なお、歯磨き粉を使うと細かな傷がつく恐れがあるため、使用は避けた方が無難です。
食事時は外す
食事中にリテーナーをつけたままだと、食べ物が詰まりやすく不衛生になるほか、噛む力で破損することもあります。食べる前には必ず外し、再装着前には歯磨きとリテーナーを清潔にことが理想的です。ちょっとしたスナック程度でも、つけたままは避けましょう。
ケースに入れる習慣をつける(保管方法)
リテーナーを外したとき、ついティッシュに包んで置いてしまう方も多いですが、これは紛失や誤って捨ててしまう大きな原因になります。外したらすぐに専用ケースに入れる習慣をつけましょう。通気性のある専用ケースは、リテーナーの衛生を保ちつつ、物理的なダメージからも守ってくれます。
熱に注意する
リテーナーは熱に弱い素材でできているため、高温にさらされると変形してしまいます。熱湯での洗浄や、直射日光の当たる場所、車内などに放置するのは厳禁です。洗浄する際も必ず水かぬるま湯を使用し、ドライヤーなどで乾かすのも避けるようにしましょう。
リテーナーのトラブルについて

臭いがする場合
リテーナーからイヤな臭いがする場合は、洗浄が不十分な可能性があります。唾液や食べカスが付着したまま放置すると、雑菌が繁殖しやすくなります。まずは日々の洗浄方法を見直し、専用の洗浄剤を使ってみるのもおすすめです。それでも臭いが取れない場合は、リテーナー自体が劣化してきていることもあるので、交換のタイミングかもしれません。
かたちが合わなくなってきた場合
リテーナーをつけたときに「なんとなく浮く感じがする」「以前よりきつい・ゆるい」と感じる場合は、歯が少し動いてしまっている可能性があります。装着時間が短かったり、うっかり数日つけ忘れたことが原因になることも。違和感を放置すると歯並びが戻ってしまうこともあるため、早めに歯科医院を受診して調整や再作製の相談をしましょう。
変形した場合
高温のお湯で洗ってしまったり、直射日光の下や車の中に放置してしまうと、リテーナーは簡単に変形してしまいます。変形すると歯にしっかりフィットせず、矯正の効果が失われるだけでなく、痛みや違和感の原因にもなります。少しでも変形を感じたら、そのまま使い続けずに歯科医院で診てもらいましょう。
紛失した場合
「外してティッシュに包んでいたら捨ててしまった」「家の中で行方不明になった」など、リテーナーの紛失は意外と多いトラブルのひとつです。見つからない場合は、できるだけ早く歯科医院に連絡し、新しいリテーナーを作る必要があります。放置すると歯並びが後戻りしてしまうため、数日間でも油断は禁物です。普段から専用ケースに入れる習慣をつけておくことが、紛失防止のカギになります。
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