歯列矯正は保定も含めると数ヶ月〜数年かかります。
そうした矯正期間中に妊娠した場合、このままマウスピース矯正を続けることができるのか、体調に影響はないのか不安になりますよね。
基本的には妊娠中でもマウスピース矯正の継続は可能です。
しかしながら妊娠中は体調の変化も大きく不安定になりやすいため、今まで以上に慎重に経過観察を行っていく必要があります。
もちろん体調をふまえて矯正を一時的にお休みすることもできます。
まずは担当医とよく相談してから進めていくことが大切です。
歯科矯正・産婦人科の担当医に相談する
妊娠した場合や、それに伴い体調が優れない場合は、早めに矯正科の担当医に相談しましょう。
また、産婦人科の担当医にもマウスピース矯正を行っている旨をお伝えいただき、指示を仰いでください。
無理せず一旦中止いたしまして、スケジュールの再調整をいたします。
矯正を継続する場合、ほとんどの場合では治療計画の変更等はなくそのままマウスピースをお使いいただけます。
ただ、体調によっては通院が難しいことがあるので、来院ペースの調整を行ったり治療計画の変更を行うなど柔軟に対応していきます。
矯正を継続する場合も、いちどお休みする場合も、矯正の担当医と相談して、長期的な矯正スケジュールを再確認していくことになります。
レントゲンや麻酔はできるだけ控える
妊娠中の被曝量は少ないに越したことはありません。当院では患者様と相談して、撮影回数をできるだけ減らして矯正を行います。
一方で、一般的な歯科治療や歯科矯正で行われるレントゲン撮影はお腹の赤ちゃんに影響はないとされています。
歯科矯正で行われるレントゲン撮影は頭部のみで、お腹からは離れた場所に照射することや、撮影時も防護エプロンを着用していただいてお腹への放射線をできる限りカットできること、そして歯科矯正で受ける放射線量は被曝量も非常に少ないことが理由です。
日本における自然被曝量は年間1.5mSvに対して、歯科パノラマ写真における被曝量は0.03mSvとされています。
歯科麻酔に関しても安定期であれば問題ないとされておりますが、万全を期すために麻酔も控えます。
もっとも、マウスピース矯正はアンカースクリューを用いた症例以外は麻酔が必要な場面はないのでご安心ください。
親知らずの抜歯に関してはご出産後、体調が落ち着いてから検討していくことになります。
口腔ケアが大事
妊娠期間の口腔ケアは特に気をつけていただきたい事のひとつです。
妊娠中はホルモンバランスが不安定になり、歯肉に炎症が起こったり歯肉から出血しやすくなったりする妊娠性歯周炎のリスクが高くなります。
様々な研究から、妊娠中の歯周炎は胎児の早産や低体重児のリスクに関わることも分かっています。
安全に出産を行うためにも、スムーズに矯正を進めるためにも、口腔ケアは非常に大切です。
クリニックにご来院なさった際は、クリーニングや歯石の除去をおすすめします。
ホームケアにおいては、フロスを使用して磨き残しを少なくすることが大切です。
つわりなどで大人用の歯ブラシが辛い場合は、お子様用の小さい歯ブラシを使ってみることや、歯磨き粉を変えてみたりするのも効果的です。
体調が優れない場合は無理をしない
体調が優れない場合は、無理に来院せず安静にしてお過ごしください。
また、やっぱり矯正をいちどお休みしたいとなられた場合も、お気軽にご相談ください。
保証期間の間でしたら矯正の中断や再開が可能ですので、治療計画を再提案させていただきます。
マウスピースを着けているのが辛い場合も、無理はせずに外してください。
体調によっては1日20時間以上付けられない日があるかと思います。その際はマウスピースの装着日数を1日延ばしていただければ問題ありません。
ワイヤー矯正ですとご自身で矯正装置を外すことはできませんが、マウスピース矯正ですとご自身での取り外しが可能です。
妊娠中はご自身の体調と赤ちゃんの安全が最優先です。
妊娠中も、そして出産後も無理なく矯正ができるよう、歯科医師スタッフ一同サポートさせていただきます。
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